料理のうつわ十問十答

七夕のうつわ【前編】

7月7日は五節句の一つに数えられる七夕。料理屋では、短冊を結んだ笹を飾ったり、梶の葉を料理に用いたりして、七夕を意識したおもてなしがなされますが、「五節句の中でも七夕の表現は意外と難しい」と『菊乃井』の村田知晴さん。そこで今回は、『梶 古美術』の梶 高明さん・燦太(さんた)さん親子が七夕に向くうつわを提案します。前編では、北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)の名作「いとまき平向」をご紹介。七夕伝説や宮中行事のしつらえなどにも質問が及び、うつわ選びのヒントが散りばめられています。

文:梶 高明 / 撮影:竹中稔彦
答える人:梶 高明さん

『梶 古美術』七代目当主。その見識と目利きを頼りに、京都をはじめ全国の料理人が訪ねてくるという。朝日カルチャーセンターでは骨董講座の講師も担当。現在、「社団法人 茶道裏千家淡交会」講師、「NPO法人 日本料理アカデミー」正会員,「京都料理芽生会」賛助会員。
梶 古美術●京都市東山区新門前通東大路通西入ル梅本町260 
kajiantiques.com/

質問する人:村田 知晴さん

1981年、群馬県生まれ。『株式会社 菊の井』専務取締役を務めながら、京都の名料亭『菊乃井』四代目として料理修業中。35歳で厨房に入る。「京都料理芽生会」「NPO法人 日本料理アカデミー」所属。龍谷大学大学院農学研究科博士後期課程に在籍し、食農科学を専攻している。
菊乃井本店●京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町459
kikunoi.jp/

共に学ぶ人:梶 燦太さん

1993年、梶さんの次男として京都に生まれる。立命館アジア太平洋大学国際経営学部を卒業後、『梶 古美術』に入り、八代目となるべく勉強中。

Q1:七夕伝説は中国から伝わったのですか?

村田知晴(以下:村田)
七夕は織姫と彦星の悲恋の物語というイメージが強いのですが…。改めて七夕の意味を知りたいです。
梶 高明(以下:梶)
七夕伝説は中国から伝わったものです。天空で一番偉い神様の天帝には、織女(しょくじょ)、つまり機(はた)織りを仕事とする娘がいました。その娘がこともあろうに牛飼いと恋に落ちてしまったんですね。なんとか結婚は認められたのですが、その後、二人して仕事もせずに遊び惚けてしまうのです。
村田:
えー! そんな物語だったんですか?
梶:
怒った天帝は二人を天の川の両岸に引き離しました。けれど、娘があまりに泣き暮らすので、夫婦がそれぞれ真面目に仕事をしていたら一年に一度の逢瀬を許そうとなった。これが七夕伝説です。
中国では、織女にちなんで裁縫の技芸の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」という行事が生まれ、それが日本へと伝わったわけです。
梶 燦太(以下:燦太)
平安時代より古い奈良時代のこととも言われています。宮中では旧暦7月7日に乞巧奠が執り行われるようになり、全国へと広がって、五節句の一つとなりました。
この記事は会員限定記事です。

月額990円(税込)で限定記事が読み放題。
今なら初回30日間無料。

残り:3355文字/全文:4097文字
会員登録して全文を読む ログインして全文を読む

フォローして最新情報をチェック!

Instagram Twitter Facebook YouTube

この連載の他の記事料理のうつわ十問十答

無料記事

Free Article

おすすめテーマ

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です