『浜作』-板前割烹 基本の流儀-

【料理編】夏の野菜料理 Vol.1 胡瓜三変化

京都『浜作』の「板前割烹 基本の流儀」第二回目のテーマは、夏野菜のキュウリとナスです。家庭でも手に入る馴染みある食材ですが「野菜料理こそ、一つ一つの工程を丁寧に行い、手をかけると違いは歴然と現れる」と三代目主人・森川裕之さんは話します。まずは、キュウリ料理3品から。切り方、味付け、水分の絞り方が、料理の完成度を大きく左右します。


森川裕之さん:京都『浜作』三代目主人。1962年、京都・祇園町生まれ。初代・森川 栄が創業した日本初の板前割烹を1991年に継ぎ、一期一会の精神で日々板場に立つ。お客には川端康成や谷崎潤一郎といった文豪、チャールズ国王やチャールズ・チャップリンなど、三代にわたって国内外の貴紳に愛されてきた。通常営業のほか、受講生が延べ4万人を超える「浜作料理教室」も主催。「現代の名工(平成29年度 厚生労働省 卓越技能者)」として表彰される。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」などのテレビ出演多数、著書も「愛蔵版 和食の教科書 ぎをん献立帖」(世界文化社)など、多数執筆している。

文:阪口 香 / 撮影:Rina

目次


夏の盛りに食べたい野菜料理

夏に旬を迎えるキュウリとナス。共に水分が多く、カリウムを含んでいるので体温を下げたり余計な塩分を排出したりと夏バテ防止にいいですね。つまり、暑い盛りに身体が求めるもの。葉物はめっきり少なくなりますが、この2種は豊富に採れ、手に入りやすい。上手いこと使いこなすと、冬の大根や蕪のように献立のベースになります。

『浜作』で使っているのは、京都・錦市場で京野菜を販売する『四寅(よんとら)』のもの。露地栽培なので色が濃く、風味がしっかりしてる。キュウリは塩揉みして絞っても繊維が潰れないし、ナスも実が詰まっています。促成栽培は軟らかくて食べやすいとも言えますが、野菜の真価を発揮するのはやはり露地ものです。

今回ご紹介するのは、キュウリを使った3品。野菜料理は魚や肉に比べると疎かにされがちですが、私に言わせてみれば野菜こそ手をかけ、念を入れて仕事すべき。切り方や味付け、水分の絞り方により、驚くほど違う食感、風味に仕上がります。工程一つ一つの意味を理解し、丁寧に行うことが肝要です。


料理によってキュウリの切り方を変える

右は「ざく」、左は「斜め切り」、奥は「蛇腹(じゃばら)」。

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