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大阪『大月』西口正和さんに聞く【5問5答】

30歳で異業種から転身、料理の世界へ飛び込んだ『大月』西口正和さん。修業先『島之内 一陽』では、和食の基礎と独創性を徹底的に叩き込んだと言う。遅咲きでありながら、勉強熱心な西口さんの個性が窺える、五問五答です。

文:船井香緒里 / 撮影:東谷幸一

目次


料理のヒントはどこから得ていますか?

古い料理本です。

うちは80種近いアラカルトと、その単品メニューから選択可能なおまかせコースを提供している和食屋。ですから、多い日で10品近い新作を考え、試作をすることもあります。大切にしているのは和食の基本に忠実に。そして少しの驚きを加えたいと日々考えていますが、時に気を衒(てら)いすぎてしまうことも。そんな時は必ず、古い料理本を見返します。

本は好きでよく読んでいて、ここで紹介する料理本はごく一部です。 『一流板前が手ほどきする人気の日本料理』(別冊家庭画報/世界文化社)は、修業時代に後輩からの薦めで購入。料理ジャンルも異なる全シリーズを持っています。今見返しても気づくことは多いですよ。例えば『菊乃井』の村田吉弘さんが紹介している、黄身酢和え。レシピの中の「板前アドバイス」に「黄身酢は湯せんにかけて作るものと思っていませんか? 鍋を一旦火から外してよく混ぜ、フードプロセッサーにかければ良い。酢が飛ばないことを優先した方が良い」と。今でこそフードプロセッサーは使いますが、25年前に取り入れられているのは驚きでした。和食の基本に忠実に、違和感のない範囲で変えていくことの大切さを学びました。

『プロのためのわかりやすい日本料理』(畑 耕一郎 辻󠄀調理師専門学校 著/柴田書店)からは、揺るぎのない日本料理の「型」を今もなお習得しています。いっぽう、『割烹選書』(志の島 忠 著/婦人画報社)は、なんば『波屋書房』で出合い全シリーズを購入。古き良き仕事を読み返すだけで、ふと基本に立ち戻ることができるのです。料理本の数々は、自分の居場所のような存在です。

から『一流板前が手ほどきする人気の日本料理』(別冊家庭画報/世界文化社)、『プロのためのわかりやすい日本料理』(畑 耕一郎 辻󠄀調理師専門学校 著/柴田書店)、『割烹選書』(志の島 忠 著/婦人画報社)。

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