【レシピ付き】アワビの料理Vol.1 東京『香嵐』の蒸しアワビと冬瓜のすりおろし椀
拭き漆のケヤキのカウンターが落ち着いた佇まいを醸し出す『香嵐』。野性味あふれる季節の食材をふんだんに使い、『銀座小十』や『銀座奥田』などでの経験を活かした主人・五十嵐大輔さん渾身の料理がいただけます。この夏、千葉・房州の黒アワビを使って仕立てたのは、「蒸しアワビと冬瓜のすりおろし椀」。鬼おろしにした冬瓜のコリッとした食感、つるんとすべらかなジュンサイの爽やかさ、厚切りのアワビのむっちり感に驚かされます。
東京・銀座『香嵐』五十嵐大輔さん作
蒸しアワビと冬瓜のすりおろし椀
2021年にオープンした『香嵐』。茶懐石の「汁、飯、向付」に倣い、一品目は季節の「だし」を供し、次いでもち米を使った飯蒸しや寿司などを。食事には、打ちたての蕎麦や土鍋ご飯を用意し、自家製のお菓子と抹茶まで一切手を抜かない。
今回提案してくださった椀について五十嵐さんは、「蒸しアワビと、鬼おろしで粗めにすりおろした冬瓜の食感のコントラストが楽しいお椀です。冬瓜を大きく切って煮物にするなら、それなりに柔らかく炊かなければいけませんが、粒状だとコリッとした食感も美味しさになるんです」と話す。だしとのなじみもよく、何より見た目にも美しい。蒸しアワビを大ぶりに切るのも、ジュンサイを加えたのも、食感のコントラストの妙を意識してのこと。口中に幸福感が溢れてくる。
冬瓜は鬼おろしにし、コリッとした食感に
冬瓜は表面の硬い濃緑の皮を庖丁で丁寧にこそげ取り、鬼おろしで粗めにすりおろす。「きれいに表面の皮を削ぎ落とさないと、煮魚にウロコが一枚入っているみたいに硬くて、ざらつきが残るんです」。
翡翠色をきれいに出すため銅鍋を使い、茹で加減は「緑の部分を食べてみてコリッとした軽い食感が残る程度」で、すぐに氷水にとって色止めする。それ以上茹でてしまうと、べチャッとし、食感が悪くなってしまうからだ。
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