うつわ×食ジャーナル

料理人が窯元にうつわをオーダー「TASTES OF KOGEI」レポート 後編『祇園 さゝ木』×『蘇嶐窯』

京焼・清水焼の窯元のうつわを、直接作り手と会って発注できる、プロの料理人向けの受注会「TASTES OF KOGEI」。2022年11月の展示では、同時に、京都を代表する料理人が作り手とコラボして、オリジナルのうつわをつくるプロジェクトも行われました。オーダーに参加した4組のうちの一つ、『祇園 さゝ木』×『蘇嶐窯(そりゅうがま)』のうつわ作りをレポートします。

撮影・文:沢田眉香子 取材協力:TASTES OF KOGEI

京焼・清水焼と民藝のハイブリッドな窯元

TASTES OF KOGEI」でのコラボプロジェクトで、『祇園 さゝ木』の店主・佐々木 浩さんとのうつわづくりに挑むのは、清水焼の窯元『蘇嶐窯』。四代目の涌波蘇嶐さんと、奥様・まどかさんのご夫婦によるブランドだ。

京都に窯元は多いが、『蘇嶐窯』には他にない特徴がある。それは、京焼・清水焼と、奥様のご出身である福岡の民藝のやきもの・小石原焼(こいしわらやき)の文字通りハイブリッドということ。

jou2025b2015年に立ち上げた『蘇嶐窯』は、東大路通に面したショップ兼工房。店頭に並んでいるやわらかな風合いの、普段使いのうつわ。

磁器に民藝風のデザイン、というユニークさ

清水焼といえば、茶道具や割烹のうつわとして使われることが多い。涌波さんの窯も、薄づくりの磁器、特に練り込み青磁を得意としていた。対して、まどかさんの手がけていた小石原焼は、民藝らしい、普段使いのうつわ。ぽってりと重みのある陶器で、「飛びカンナ」と呼ばれる規則的な刻み目模様がよく知られている。

この2つの魅力のハイブリッドである『蘇嶐窯』のうつわは、青磁の凛とした雰囲気と飛びカンナの素朴さが同居する。うつわに詳しい人なら、その意外性に気づくはず。

jou2011c磁器でありながら、雰囲気は土もの(陶器)。飛びカンナの模様が刻まれている。写真は竹編作家とコラボレーションした新しい表現。

「お店のうつわに、日常はいらない」という、佐々木さんのオーダー

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