×小山厚子vol.2【一問一答】備前育ちの作家が挑む、作陶の進化と深化
「巨匠のような堂々たる備前焼から、現代アートのようなカラフルでキュートな作品まで、小山厚子さんの作風の幅広さには驚くばかり」と『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さん。その創作の秘密を探りに、備前焼の里、岡山・伊部(いんべ)の工房へ。陶芸家の父・末廣さんと作陶を続ける大人気の女性陶芸家を訪ね、石川さんが直接質問を投げかけました。
Q1:備前焼の一番の強みを教えてください
傾斜を利用した穴窯の前で、『神楽坂 石かわ』店主・石川秀樹さんと。窯の中には部屋が3つあり、煙突が低いのが特徴だ。
この辺り、平安時代くらいからの古い小さな窯跡がたくさんあるので、子供の頃はよく陶片を探しに行ったものです。ほとんど掘り尽くされているのですが、たまに徳利の口とか、いい陶片を見つけると、陶芸の大先輩でもある父が喜んでくれました。そして、その陶片が昔、どんな風に使われていたものかといったことを教えてくれました。
父は骨董好きで、物心ついた頃から北大路魯山人や川喜田半泥子(かわきた はんでいし)の作品に触れる機会がありました。魯山人は晩年、備前の土味に惚れ込んで、作陶に熱中したと聞いています。
備前の土は本当にいい土で、キメが細かい。備前焼のいいところって、土味の美しさだと思います。土が悪いと、表情が美しくならない。イキがよくないというのか、生命感が感じられないんです。扱い方を誤ると、土が死ぬ。イキがいいか、死んでいるか。備前をやってる人がこだわっているのは、そういうところだと思います。
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