『神楽坂 石かわ』×現代作家

×鈴木玄太vol.1 和ガラスの風合いに導かれて

『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんは、以前、滋賀県にある「MIHOミュージアム」で江戸の和ガラス展を見て、圧倒的な美しさと技術力の高さに衝撃を受けたと言います。和ガラスに強く惹かれるようになった石川さんは、ある時、ギャラリーから送られてきた個展のDMで、和ガラスに通じる風合いを持つ作品と出合います。それが、鈴木玄太さんの作品でした。「温かみのある揺らぎは冬の料理にも合います」と石川さん。届いたばかりの新作に、初冬の美味を盛り込んでいただきます。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

目次


思いがけない和ガラスとの再会

滋賀県にある「MIHO MUSEUM(ミホミュージアム)」へ江戸のガラス展を見に行った時、かんざしから虫籠、屏風など、うつわや酒器以外にもたくさんのガラス作品があることに、とても驚きました。色のバリエーションも日本の伝統色を思わせる奥ゆかしさがあって、江戸時代の職人たちは、ものすごく高度な技術を持っていたことを改めて知りました。

そこから、和ガラスを強く意識するようになったのですが、アンティークでも出回らないし、博物館レベルのものしかないのか、と半分あきらめていた時に、ギャラリーから個展のDMをもらって、ハッとしたんです。まるで和ガラスのような風合いを持つ作品が写っていた。それが鈴木玄太さんの作品でした。

足を運んで、直接、鈴木さんの作品を見た時も、衝撃でした。なんて美しいんだ、と。なかでもこの木枠の付いた作品には釘付けになりました。

ish0011-1a浮かせると影となって卓上に映る景色が、太陽に照らされて煌(きら)めく水面のよう。

最初の個展で見た作品は、もう少し大きく、八寸を盛るような真四角でした。すでに売約済みで、その年は買えず、翌年、都内の百貨店で開催された個展に朝イチで足を運んで、長方形の今のサイズに出合い、すぐオーダーしました。

少し持ち上げると、光を得て、波のような煌めきが出てくる。まるで海の中にいるような感じで、素晴らしくきれいですよね。木枠とのバランスも絶妙です。

鈴木さんは、実際に型吹きの和ガラスも手掛けられる作家さんですが、この木枠付きのガラスは和ガラスではないそうです。でも、「MIHO MUSEUM」で見た時の衝撃と重なるのは、完全に昔と同じに戻るのではなく、和ガラスの風合いを取り入れ、作品を前へ進めているからかもしれません。

鈴木さんの作品は温かみのある揺らぎがあって、冬の料理にも合います。では、早速盛り付けていきましょう。

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