【レシピ付き】芋料理 Vol.3 大阪『旬鮮和楽 さな井』
深まりゆく秋の野山を感じさせる、菊芋がテーマの一品。大阪・東心斎橋の割烹『旬鮮和楽 さな井』店主の長内敬之さんが考えたのは飯蒸しです。工程には菊芋をもち米と共に油で炒める、蒸す、きんぴらにする(!)など、固定概念にとらわれない調理も。個性を余すところなく引き出す技は必見です。
大阪『旬鮮和楽 さな井』長内敬之さん作
菊芋 錦秋飯蒸し
「菊芋が持つ土っぽい香りが好きでね。コース料理に菊芋が主役の一皿を組み込むと、秋の鄙(ひな)びた風情を表現しやすいんですよ」と、長内敬之さん。
エビなど他に目立つ食材は一切なし。菊芋を飯蒸し、揚げまんじゅうそれぞれに用いて、黄ニラのあんでまとめたのが今回の一品だ。
「高級素材を使わなくても、感動を生む味づくりはあると思うんです」。そう言って、長内さんは微笑む。
もち米は油でコーディングしてから蒸す
飯蒸しは、浸漬したもち米を蒸すのが定石。しかし長内さんは、太白ゴマ油で菊芋と共に炒めるという工程を挟む。「菊芋、そして米ひと粒ひと粒に、油をコーティングさせるような感覚で炒めます」。
そうすることで米が油を吸って熱くなり、八方だしを注ぐと湯気が一気に立ち上がる。「高温状態を保ったまま蒸し器で加熱すると、菊芋の香りやだしの旨みが際立つ飯蒸しに仕上がります」。
さらに、もち米がだしをしっかり吸っているため、途中で酒塩(酒と水を合わせて塩を溶かしたもの)を加える工程も不要という利点もある。
「昔は飯蒸しをもち米だけで作りました。だけど今は、季節の素材を加えることも多いでしょう。もち米と素材との一体感を出すためにも、油で炒めるという手法は大いに役立ちますよ」。
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