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【リターン編】和食の新たな調味に「乳酸発酵」Vol.1トマト編

大阪『靭(うつぼ)本町 がく』店主・今川 岳さんが、京都のイノベーティブ『Bini(ビーニ)』店主・中本敬介さんに1日弟子入りしたのは、約1年半前のこと。約30種の発酵食品を自家製する中本さんに、まろやかな酸味が特徴の乳酸発酵について学びました。その後、「野菜、フルーツ、はたまた生コショウに至るまであらゆる食材を発酵させています」とハマッた様子の今川さん。
その成果を披露していただく「リターン編」。Vol.1ではトマトをテーマに「白甘鯛の手まり寿司」を、Vol.2では舞茸を用いた「すり流し」を作っていただきます。

聞き書き:船井香緒里 / 撮影:高見尊裕 
今川 岳さん(大阪『靱本町 がく』店主)

1976年兵庫県生まれ。大学中退後、法善寺横丁『浪速割烹 㐂川(きがわ)』に入り10年弱、カウンター割烹の仕事を学ぶ。その後、堺筋本町のビストロ『ル・ヌー・パピヨン』(閉店)で1年半マネージャーとして経験を積み、2013年4月に靱本町にて独立。

柔らかい酸味が特徴の、乳酸発酵

「和食と発酵」はとても身近な存在。ですが、新しい視点をもって発酵特有の酸味や香りを料理に生かしている例はあまりない。アクセントに使ったら面白い料理ができるのではないか。そう考えていた矢先、『Bini』の中本敬介シェフに弟子入りさせていただき、シェフが培ってこられたヨーロッパならではの発酵の技を教わりました(和食の新たな調味に「野菜・フルーツの発酵 Vol.1」)。和食とは違う発想も数多あり、おかげさまで僕の引き出しがぐんと増えた気がします。

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見てください。この発酵食品の数……。完全にハマッてしまいました(笑)。
グリーントマトにミョウガ、ナス、赤玉ネギ、レモン、スイカにパイナップル。さらには、コショウの実に至るまで、あらゆる発酵食品がワインセラー(17℃)の中で出番を待っています。

乳酸発酵の魅力とは、酢酸のシャープなニュアンスとはまた違う、まぁるい酸味。うちのコース料理では、献立のどこか1カ所にこの酸味を必ず取り入れます。1品のみに絞る理由は、乳酸発酵に共通する風味を重ねたくないということ。さらに、味噌や醤油の旨み、塩気、米酢の酸味など、他の発酵食品との味わいの起伏を大切にしたいからです。
今回は、中本シェフから最初に教わった「トマトの乳酸発酵」を自分なりに落とし込み、「白甘鯛の手まり寿司」を作ります。

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