大阪料理会

【レシピ付き】牛たん味噌漬け——『山海料理 仁志乃』西野保孝さん作

ロゼ色の断面が目を引く牛タンは、しっとり柔らかく、歯切れよし。ギリギリ火が通るくらいの加熱をしてから、赤味噌をまとわせて2日。ローストビーフをイメージして、『山海料理 仁志乃(にしの)』の西野保孝さんが試行錯誤の末に作り上げた「牛たん味噌漬け」です。赤味噌によるコクと香ばしさ、牛タンらしい独特の食感が、会員に大好評。新しい和食の肉料理として可能性を感じる提案となりました。

※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭
西野保孝さん(大阪・堺|『山海料理 仁志乃』店主)

1961年、大阪・堺生まれ。調理師専門学校を卒業後、土佐料理店での修業を経て地元に戻る。1991年、行基(ぎょうき)生誕の地として知られる家原寺門前にて、『山海料理 仁志乃』を創業。地の利を生かして泉州の海鮮を主に、会席料理から鍋、居酒屋風の一品まで幅広く提供。大阪料理会のムードメーカーながら、研究熱心な一面も覗かせる。

ローストビーフをイメージし、牛タンを柔らかく火入れして赤味噌に漬けました

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ここ数年は特に、和食店でも牛肉の料理が求められるようになりましたよね。うちでもローストビーフをお出ししているのですが、もう少しバリエーションが欲しいなと思っていたところ、少し前の大阪料理会で、『和洋遊膳 中村』さんが牛タン味噌煮を提案されていて興味を持ちました。

僕、牛タンが大好きなんですよ。あの独特の食感と風味を生かして、ローストビーフみたいな仕立てにできないかな?と考えたのが、この一品です。

和食店では牛タンを仕入れるのがなかなか難しいので、冷凍ものなのですが、黒毛和牛のタンを1本買いしています。筋や脂身、硬い部分をトリミングして、タン元とタン中と呼ばれる部分だけをこの料理には使いました。1本1.8㎏の牛タンから750gくらいしか取れませんけどね(笑)。

高温でいきなり火を通すと、牛タンは硬くなるでしょう。柔らかく、歯切れよく、少しレア感を残して仕上げたかったので試行錯誤しました。その結果、塩コショウして1時間くらいおいてから、真空にして60℃で3時間、スチームコンベクションオーブンで火入れするやり方に行き着きました。

これをガーゼで包み、煮切りみりんでのばした赤味噌をまとわせて、真空状態で2日ほど味噌漬けに。味噌床に漬けるやり方もありますが、味噌が大量に必要でしょう。真空にすると少量で済むんですよ。肉の臭みを和らげるため、辛味を感じない程度に一味唐辛子を少し加えています。味噌を丁寧にぬぐって、スライスして盛りました。

あしらいは、玉ネギの甘酢漬け。本当は、辛味が柔らかくて風味もいい肉厚の貝塚早生(わせ)を使いたかったのですが、まだ出てこないので泉州玉葱で代用しています。
くし形に切って甘酢に漬けて3日くらいおくと、辛味が抜けて美味しくなるんですよ。

osa0027-3c「赤味噌を使うことでコクと香ばしさが出て、独特の深みのある味わいになっている」と、畑 耕一郎会長が絶賛。サクッと噛み切れるタン独特の食感が好評だった。60℃で3時間加熱するという解説に、会員からは「ギリギリの火入れ」と驚きの声も。「60℃で火入れした際に出た肉汁を味噌床に混ぜるといいのでは?」「玉ネギの甘酢漬けの替わりに実山椒のペーストを合わせてもよさそう」と様々な意見が出て、会は盛り上がりを見せた。

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