大阪料理会

【レシピ付き】勝間南瓜まんじゅう——『和楽せき根』関根文幸さん作

なにわの伝統野菜である勝間南瓜(こつまなんきん)は、かつて勝間村(現・大阪市西成区玉出町)の特産品でした。西洋カボチャの普及によって一時は途絶えましたが、平成の時代に復活。『和楽 せき根』の関根文幸さんは、「大阪の料理人として伝統野菜は大切にしたい」と今回テーマに選んだと話します。調理するのは初めてとあって、「水分と粘りが多くて」悪戦苦闘。試作を重ね、合鴨ミンチを包んで南瓜まんじゅうに。大阪料理会には勝間南瓜を使う会員が多く、様々なアドバイスが飛び出しました。


※大阪料理会 公式サイトhttps://osakaryourikai.com/

聞き書き:中本由美子 / 撮影:福本 旭
関根文幸さん(大阪・平野|『和楽せき根』店主)

1963年、茨城県生まれ。辻󠄀調理師専門学校を卒業後、同校に日本料理教員として5年勤務する。2001年に独立し、『和楽せき根』を開店。接待や会食ではなく、ファミリーをターゲットに、安心感ある定番の和食を大切に、昼は3850円~、土・日・祝日と夜は5500円~とリーズナブルなコースで楽しませる。「大阪料理会は新しい手法や食材に出合えるので刺激を受けてます」。

なにわの伝統野菜・勝間南瓜のきれいな色と甘みを生かしました

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勝間南瓜は今回初めて扱ったのですが、かなり苦戦しました(笑)。
まず、皮がゴツゴツしているので、凹凸の間に土が残っていて、この面白い形状を使うのは難しいな、と。そこで皮をむき、蒸してみたら、水分と粘り気が予想外に多くて…。

味わいは優しいですが、甘みはあるカボチャですね。合鴨とは相性がいいと思ったので、これを芯にしてまんじゅうに仕立てました。
カボチャを生地にする場合、蒸した後、裏漉しするのですが、勝間南瓜は柔らかいので手で潰すだけで充分。蒸し上げたら布巾にのせて、水分を拭き取りました。

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合鴨は、旨みが強く、弾力もある首肉(ネック)を使いました。粗めの挽肉にして、脂も少し足しています。ショウガと玉ネギを合わせ、コクを出すのに赤味噌を加えて、山椒で香りを付けました。これを丸(がん)に取って、昆布だしで茹でてから、勝間南瓜の生地で包んでいます。

この作業がかなり大変でした。勝間南瓜は水気が多いので、手に付いて包みにくい。鴨の脂を手に塗って、なんとかうまく成形しました。

10月くらいが旬だと聞いていましたが、昔は井戸の上に吊るして冷気を当てて冬至に食べたという話や、半月くらい追熟させるといいという話を今回聞いて、勉強になりました。
随分と手間をかけてしまったのですが、皮ごと加熱した方が美味しいとも聞いたので、もう少しシンプルな料理をまた考えてみようかなと思っています。

osa0021-3d「オレンジ色が鮮やかで目を引く」「合鴨との相性がいい!」と好意的な感想がある中で、「勝間南瓜は皮に特徴があるので、何かに使った方がよかった」という意見も。持ち味が優しいので、複雑な味付けはせず、シンプルに蒸したり、煮たりした方がいいと、畑 耕一郎会長もアドバイスをした。

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