大阪の老舗庖丁専門店『堺一文字光秀』がイベントスペース『一十一 ICHITOI』をオープン!
大阪・千日前の道具屋筋商店街に構える庖丁専門店『堺一文字光秀』。創業70年を越える老舗の2階に、イベントスペース『一十一 ICHITOI』がオープンしました。「一文字」と「十一」の分野の人々で、食のあらゆる「問い」を深め、学ぶ場に。10月1日に行われたお披露目会の模様と共にご紹介します。
大阪・道具屋筋の老舗庖丁専門店『堺一文字光秀』
大阪・堺は刃物の産地として600年の歴史を持つとされ、15世紀に庖丁鍛冶集団が加賀国(石川県)から移住したこと、また、古くは5世紀に鍬(くわ)や鋤(すき)などの鉄製道具を作る鍛冶技術が発達したことが土台にあると言われている。
素材の軟鉄や鋼(はがね)を高温で熱し、金づちなどで叩き延ばす鍛造(たんぞう)という技法が用いられる「打刃物」は、堺の職人が得意とする仕事。耐久性があり、切れ味良く仕上がる庖丁を広めるべく、『堺一文字光秀』は1953年に大阪・難波の道具屋筋商店街で看板を掲げた。
現在、店舗に並ぶ庖丁は2000種以上。庖丁の販売だけでなく、プロデュースやメンテナンス、飲食店向けの厨房機器施工・設置なども行う。
イベントスペース『一十一 ICHITOI』とは
関西の名だたる名店、一流料理人を支えて72年。三代目社長・田中 諒さんが、同店2階にイベントスペース『一十一 ICHITOI』をオープン、10月1日にお披露目した。
三代目・田中 諒さん。WEB広告会社にて8年勤務した後、2017年に「一文字厨器株式会社」入社。21年「辻󠄀調理師専門学校」臨時講師就任。22年「一文字厨器株式会社」代表取締役就任。
店内にはプロジェクターや展示スペース、オープンキッチンもある。
田中さんは「和食」が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたこと、反面、庖丁職人の減少や一般家庭で庖丁が使い捨ての道具となっていること、水産資源の枯渇などに触れ、「『一十一 ICHITOI』を通じて、食や道具に関わる人たちと共に、体験と対話を通して日本の食文化や道具文化を再評価し、研鑽し、世界に発信していきたい」と語った。
「一十一 ICHITOI」は、「一」文字×「十一」者で、社会に「問い」を投げかけ、新たな気づきを生む場所にしたいという想いが込められている。
十一者には、『一文字』がこれまで培ってきた文化と関わりのある作り手、届け手、地元商店街、道具産地、食品生産者、教育、行政、伝え手、異文化、伝統工芸士、使い手といった分野の人々がピックアップされ、今後、さまざまなイベントが開催される予定だ。
例えば、「食の未来」を考えるイベントでは、活躍する料理人と若手料理人のトークセッションを、「和食文化の再発見」については食品生産者と教育機関を交えて子ども向けの食育イベントを。
『一十一 ICHITOI』にはオープンキッチンとセミナー設備が完備されており、お披露目会でもトークセッションや庖丁研ぎ体験が行われた。
お披露目会の模様。左/左より、司会のクッキングエンターテイナー・大西哲也さん、「辻󠄀調理師専門学校」湯川徳之さん、『日本料理 雲鶴(うんかく)』島村雅晴さん、田中 諒社長。「大阪から定義する和食/大阪料理とは?/食材のサステナビリティ―」のトークセッション。右/「Made in japanブームはいつまで?-和庖丁の未来を考える-」のトークセッションの模様。会場では和歌山『平和酒蔵』の「紀土-KID-」、大阪『創作寿司 ひかり』の寿司が振る舞われた。
実家が創業100年を越える居酒屋で、自身も板前修業をした経験をもつお笑い芸人こがけんさんも庖丁研ぎ体験やトークセッションを行なった。
11月より随時イベントが開催される予定。詳細はInstagramで発表予定だ。
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