【レシピ付き】6月の酢の物 Vol.3 東京『てのしま』
東京・南青山にある日本料理店『てのしま』。京都『菊乃井』出身の店主・林 亮平さんが繰り出す料理には、自らのルーツである父親の故郷、瀬戸内海に浮かぶ手島への想いが色濃く反映されています。今回の酢の物に使うのは、いりこ酢味噌。「栄養価の高い乾燥させた煮干しのいりこを加えた酢味噌は、手島の郷土の味。そこに料理屋らしさとオリジナリティを吹き込みます」と林さん。瀬戸内産のレモンを加えてこの季節にぴったりの酢味噌に仕上げ、脂ののった瀬戸内の小鯛に合わせます。
東京・南青山『てのしま』林 亮平さん作
小鯛のレモンいりこ酢味噌
林さんが瀬戸内の代表的な産物と位置付けるのがいりこ、そしていりこ酢味噌は手島の郷土の味と語る。
「いりこの香りと旨みを感じる酢味噌に、乳製品の油脂、レモンの酸味を加えることで味が複雑になり、どこか懐かしくも、新しい味わいになります。今回は小鯛ですが、タコと合わせても美味しいです」。
程よい酸味のいりこ酢味噌と、昆布だしを加えたまろやかな割り酢、上品な酢〆の小鯛が奏でる複合的なハーモニー。シンプルにして考え抜かれた温故知新の酢の物である。
レモンいりこ酢味噌の隠し味に油脂を
「最近、もともとあった料理法を研ぎ澄ませて、深化させています。素材の組合せの妙はあるけれども、ごくシンプルな料理法が好きになってきました」と、林さん。酢の物に使う酢味噌も、元来の白味噌を同量の酒で長時間炊き上げる手法を見直したと言う。
「炊き味噌は、もともとフレッシュな白味噌の豆々しさを取るための手法ですから、そこにほんのちょっとの乳脂肪の油脂を加えることで同じようなマスキング効果があります」。
白味噌に加えるのは、生クリームと豆乳。そして、少量の酒。鍋で合わせて強火にかけ、一気に短時間で炊き上げる。
「時短にもなりますし、労働力の短縮にもなります。コツはまんべんなく丁寧に底を撫でるように混ぜて、焦がさないこと。いりこを混ぜた後は、豆乳で味噌の硬さや味の濃さを調整します」。
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