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【レシピ付き】XO醤を学ぶ Vol.1作り方

「僕は味噌や煎り酒、ウスターソースなどを手作りする調味料好き。和風アレンジへの可能性を感じるXO醤(ジャン)に、以前から興味がありまして」と、意気込みを語るのは、京都・河原町五条『六条院 拓磨』店主・森 拓磨さん。
今回指南役にと仰いだのは、開店3年目にして1年先まで予約が取れない中国料理店、京都・紫竹(しちく)にある『仁修樓(にんしゅうろう)』店主の上岡(うえおか) 誠さん。開店以来XO醤を自作する上岡さんには、いくつもの流儀がありました。第1回では、その気になる“仁修樓式XO醤”の作り方を学びます。

文:川島美保 / 撮影:高見尊裕 
上岡 誠さん(『仁修樓』店主)

1983年京都生まれ。幼い頃から家族の食事を作っていた経験も影響して、自然と料理の世界へ。京都市内のホテルでの修業を皮切りに、中国料理ひと筋に20余年。大阪・神戸など各地のホテルを渡り歩いた後、2019年に地元で独立。ベースは広東料理。素材の持ち味を生かす丁寧な仕事と繊細な味わいで瞬く間にファンを増やし、2023年の予約は既に満席となっている。

森 拓磨さん(『六条院 拓磨』店主)

1981年京都生まれ。京都の有名料亭などで日本料理の基礎を学んだ後、2018年に独立。ヒラメの昆布〆に奈良漬け風味の筋子を合わせた向付や、野菜の糀漬けを使ったウスターソースでいただくカニクリームコロッケなど。自家製の保存・発酵食品や調味料を巧みに生かした独創的な料理を随所に取り入れたコースで、根強いファンを得ている。

XO醤は、最高級の“調味油”

森 拓磨(以下:森)
甜麺(テンメン)醤やオイスターソースなど、数ある中国調味料の中で僕が最も興味を抱いたのがXO醤。ご縁があっていただいた上岡さんのXO醤は、豊かな旨みと深みはもちろん、歯切れのよい干し貝柱の食感が印象的で、今までにない美味しさでした。
上岡 誠(以下:上岡)
お褒めの言葉、とても嬉しいです。実はXO醤はかなり気合いを入れている自信作です。あまりに手間がかかるので憂鬱のタネでもあるのですが(笑)、ご参考になれば幸いです。
森:
まったく製法が想像付かないので、そう言われるとドキドキしますね。
上岡:
まずはXO醤の簡単な説明をしましょうか。醤は、中国料理でタレやソースなどの調味料を指す言葉。XO醤は1980年代後半に香港の『ペニンシュラホテル』が生み出したと言われています。
森:
意外にも歴史は浅いのですね。
上岡:
現在の浸透具合から、いかに急速に広まったのかが分かりますよね。
そしてXOの名称は、ブランデーの最上級ランクXO(Extra Old)に由来していると伝えられています。つまり、高級食材で作る最上級の醤ということです。

加えて僕は、材料だけでなく“XOな油”を作ることこそが最も重要だと捉えています。
森:
油がキーになるとは、ますます想像できません!
全貌を知るのが楽しみです。よろしくお願いいたします!
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