うつわ×食ジャーナル

唐津を代表する作家・中里隆の陶磁器展。掌で楽しむ“陶の旅人”の多彩な世界。

歴史あるやきものの産地、唐津の名門「中里太郎右衛門窯」十二代当主(人間国宝)の五男として昭和12年に生まれた中里 隆さんは、伝統の形式に縛られることなく、奔放でエネルギッシュなやきものをつくり続けてきた異彩の人。ギャラリー『京都やまほん』では開館10周年を記念して、今年84歳を迎え、ますますアクティブな中里さんの陶磁器展を現在、開催しています。テーマは「湯呑」。様々なバリエーションがずらり84種、300点揃い踏みで、中里 隆さんのやきもの世界を一望できるような眺めは圧巻です。

撮影・文:沢田眉香子

jor0007荳ュ驥碁嚀逕サ蜒十1料理も玄人はだしという中里 隆さん。『菊池寛実記念 智美術館』(東京都港区)で「中里隆 陶の旅人」展が開催中(2021年11月28日まで)。

種子島、アメリカ、欧州、中近東、東南アジア、沖縄、韓国。世界各地を巡り、そこで出合った土や釉薬を生かし、現地の人と交流をしながら生み出してきた、人の営みと共にある生活の道具、うつわ。土地の風土を豊かに映し出す中里 隆さんの作品は、どんな料理もおおらかに包み込む。
仙人のような飄々としたお人柄も、音楽家、画家、文筆家など多くの異ジャンルのアーティストを引きつける所以(ゆえん)だ。

唐津「隆太窯」を拠点として親子三代での旺盛な制作のかたわら、1990年代からはデンマークの「ロイヤルコペンハーゲン窯」や、アメリカ・コロラド州の「アンダーソンランチ・アートセンター」と各地で滞在制作や指導も行うなど、活躍はワールドワイド。熱狂的なファンも世界中にいる。

そんな陶芸界の大御所、中里 隆さんの展覧会が『京都やまほん』で開催されている。有名作家となると、茶碗や懐石のうつわにはそれなりのお値段は覚悟、なのだが、この展覧会のテーマはぐっと手に取りやすい「湯呑」。ギャラリーには、84種、総数なんと約300点もの作品がずらりと並んでいる。ひとつひとつ、手法も形も、釉薬のテクスチャーも違うのが壮観。中里さんがこれまで展開してきた、様々なやきもののバリエーションが一堂に会していて、それを掌で味わえるという、愉しみの多い陶磁器展だ。

jor0007荳ュ驥碁嚀逕サ蜒十IMG_7647D伊賀の『gallery yamahon』、『京都やまほん』代表、建築家でもある山本忠臣さん。空間やうつわから醸される「空気感」からの美の提案は、料理人もインスパイアする。

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