『神楽坂 石かわ』×現代作家

×竹下鹿丸vol.1 ワイルドなのに上品。自然釉が作り出す唯一無二の益子焼

栃木県益子で作陶を続ける竹下鹿丸さんのうつわは実に多彩。伝統的な焼き締めでも、シャープな現代感覚を持ち併せ、ひと味もふた味も違う表情を見せてくれます。自然釉の作品は、まるで炎と土が力を合わせて紡ぎ出したような豪快な印象も。「一見ワイルドに見えますが、使ってみると計算され尽くした繊細さが秘められていると感じます」と、『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんは言います。石川さんのそぎ落としたシンプルの極みのような料理が、竹下さんのうつわの新たな魅力を引き出します。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

目次


優しい色合いに、ひと目ぼれ

2年前でしょうか。個展の案内状を思わず二度見してしまいました。白磁とあるのに焼き締めのようで、見たこともない優しい色の組合せ。そして品がいい。ちょっと洋風なニュアンスもあって、現代的だなと思いました。

その時は案内状のお皿とよく似た、こちらの作品を求めました。淡い色合いで大きさも手頃で使いやすい。気に入っています。

ish0008-1a白磁平鉢。釉薬をかけていない磁器の焼き締め。焼成時に薄く灰がかかった自然釉の作品だが、竹下さんはあえて白磁と名付けている。石川さんは優しい色合いに、ひと目惚れして購入した。

今回、僕の所有するうつわはその1枚だけで、9月に『銀座 日々(にちにち)』で開かれる個展に出品予定の作品から選ばせてもらいました。ダイナミックな大きいものもありましたが、迷った末、一人分の盛り付けが似合ううつわでまとめました。

ish0008-1bゴツゴツした地肌、土味が生きている自然釉鉢。まるで釉薬をかけているように見える。今回の個展にも登場。

驚いたのはこの鉢です。てっきり釉薬をかけたものだと思いました。自然釉でこんな生き生きした色合いが出るんですね。焦げもあって、まるで海底から引き揚げたような味わいがあります。鉢というか茶碗というか、使い途(みち)が広がるうつわですね。

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