『神楽坂 石かわ』×現代作家

×池西 剛vol.1 さりげないフォルムの奥にある、見所満載の味わい深さ

愛媛県今治(いまばり)市を拠点に作陶を続ける池西 剛さんの個展に、『神楽坂 石かわ』の石川秀樹さんが初めて足を運んだのは10年以上前。さりげないフォルムの奥に、底知れない味わい深さを感じ、一瞬で惹き込まれたそうです。今回は、石川さんが愛用するうつわと、次回の個展に出品されるうつわの両方に、同じ料理を盛っていただくことになりました。石川さん所有のうつわとはつくられた年代が異なり、作風の変化が楽しめます。池西さんの変化に、石川さんはどう向き合うのでしょう。

文:渡辺紀子 / 撮影:綿貫淳弥 / 編集:伊東由美子

見れば見るほど、使えば使うほど、奥深い魅力が現れる

ish0004-1aここ10年、石川さんが愛用してきた池西さんのうつわ。使い続けることで、さらに味が出ている。

ギャラリー『炎色野(ひいろの)』が渋谷にあった頃、人気作家・池西 剛さんのうつわと出合って10年以上になります。その時に購入したのが写真の4点です。青瓷(せいじ)が2点と黒高麗(くろごうらい)2点。池西さんは、青磁を「青瓷」と表記されるんですよ。

最初、右下の茶盌(ちゃわん)形の青瓷を見て、カッコいいなぁと思ったんです。何でもないフォルムでしょう。でも、見れば見るほど素敵で、飽きないんです。以前にもお話ししましたが、僕は、うつわはフォルムだと思っています。このさりげないフォルムが奥ゆかしく、心惹かれました。

じっくり眺めてみると、釉薬のムラっけも見事な景色になっているし、貫入(※1)も入っていて、見所満載。奥行きのある青瓷で、こんなやきものを作る作家さんがいるんだと感動しました。

※1貫入:窯から出したあと、冷却時に生じるヒビ模様のこと。釉薬と素地の収縮率の違いによって起こる。

今回は、池西さんが4月の個展に出品されるうつわを送ってくださったので、僕が持っている青瓷と黒高麗も使って、同じ料理を2つのうつわに盛り分ける試みに挑戦してみたいと思います。

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