和食を科学する料・理・理・科

レンコンの食感をデザインする【シャキシャキ編】

2022.10.31
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連載:和食を科学する料・理・理・科

「レンコンを切ってから酢水に浸す意味は?」「茹でる時も酢水を使うといいと言いますが、その理由は?」。今回の実験は、東京・富ヶ谷の『七草』店主・前沢リカさんの、こんな素朴な疑問から始まりました。薄切りのレンコンでなますを作る際、「色白に仕上げて、シャキシャキ感を楽しませたい」と話す前沢さんのリクエストに応えて、農学博士・川崎寛也先生が幾つかの方法を提案。はてさて、なますに向くレンコンの下処理とは?

文:瀬川 慧 / 撮影:大山裕平
前沢リカさん(東京・富ヶ谷『七草』店主)

茨城県出身。鰻屋の三女に生まれ、幼少期から厨房で育つ。大学卒業後にファッション企業に勤めた後、料理の世界へ転身。東京都内の老舗江戸料理店などを経て、2003年東京・下北沢に、『七草』をオープン。2017年、現店舗に移転。料理教室も手掛ける。「野菜の料理教室」(エンターブレイン)など著書多数。

川崎寛也さん(農学博士)

1975年、兵庫県生まれ。京都大学大学院農学研究科にて伏木 亨教授に師事し、「おいしさの科学」を研究。「味の素㈱」食品研究所上席研究員であり、「日本料理アカデミー」理事。「関西食文化研究会」での基調講演でも活躍している。専門は、調理科学、食品科学など。近著に「おいしさをデザインする」(柴田書店)。

切ったレンコンを水にさらす効果とは?

前沢リカ(以下:前沢)
レンコンって、とても食感の豊かな食材だと思うんです。薄切りにしてなますにするとシャキシャキ、乱切りにして煮物にするとホクッとしますよね。
どんな風に調理するとしても、切ったそばから水に浸けてアク抜きするのが慣例となっていますが、そもそもレンコンのアクとは何なんでしょう?
川崎寛也(以下:川崎)
レンコンの場合は、黒っぽく変色するからアクがあると思われているのでしょうね。この黒ずみのもとは、ポリフェノール。赤ワインなどに含まれることで知られる抗酸化物質です。
ポリフェノールは、ポリフェノールオキシダーゼと呼ばれる酵素によって、酸化されて褐変物質ができます。これを酵素的褐変と言いますが、この時、空気中の酸素も必要なので、酸素を遮断すれば変色しない。水に浸けると酸素を遮断できるので、これは理に適ったやり方と言えるでしょう。
前沢:
色を白く保つためには、酸素に触れない方がいい。それで水にさらすんですね。
川崎:
理屈としてはそうです。水にさらさないと、どのくらい変色するのか、試してみませんか?
前沢
私は、なますにする場合は、シャキッとするということもあって酢水にさらすのですが…。
川崎:
ポリフェノールオキシダーゼは酸性にすることで働きを低下させることができます。酢の酸に効果があるということですね。
前沢:
水や酢水に浸けると持ち味が流れ出ないのかな?と心配になることもあって…。例えば、切ったそばからラップに包んで酸素を遮断したらどうなんでしょうね。
川崎:
ラップを使うのもアリだと思います。ぜひ、やってみましょう。
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