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【レシピ付き】温まる一品目 東京『日本料理 若林』の「大地の恵みのごぼうと里芋」

開店して9年目を迎えた、『日本料理 若林』。料理の根幹ともいえるのが、ご主人の若林浩次(こうじ)さんが力を注ぐ、力強い無農薬野菜を使った健康的な皿の数々です。「野菜を見て、その持ち味や香りからメニューを考えることが多いですね」。この秋冬は、コクのある温かいゴボウのすり流しに、カリッと揚げた里芋、鮮やかなモロヘイヤの緑が映える、野菜の滋味をぎゅっと凝縮した先付が登場。旨みを増幅させるだしの組合せにも注目です。

文:瀬川 慧 / 撮影:土居麻紀子

目次


東京・青山『日本料理 若林』若林浩次さん作
大地の恵みのごぼうと里芋

大地の土っぽさが生きた力強い農園直送の旬野菜をふんだんに使った料理に、新鮮な天然のお造り、スペシャリテの北海道きんきの煮付け、野菜の炊き込みご飯など独自のコースで魅了する『日本料理 若林』。
先付(一品目)は、必ず旬の野菜を使った料理から。今回はゴボウや里芋など根菜をメインに。あるときは、甲イカと北寄貝に旬の野菜をさっと炒めて、カリフラワーと豆乳のソースで。素材が持つそれぞれの素朴な色合いやテクスチャーを大切にしている。

今回の主役は、群馬県『静ファーム』が育てたゴボウ。若林さんは「50年以上ずっと無農薬で育てられていますから、香りと旨みが全然違います」と話す。香味野菜や鯛だしと合わせてじっくり煮詰め、ゴボウの風味が口一杯に広がる、濃厚でまろやかなすり流しに仕立てた。「すり流しにすることで、余計な下処理で野菜本来の味を削ぎ落とすことなく、身体全体にしみわたるような一品になります」。

ゴボウに香味野菜の旨みを移すイメージで炒める

まずはゴボウの風味を逃さないよう、水を流しながら優しくタワシを当てて土を落とす。「ゴボウは必ずスが入っていないものを選んでください。スが入っていると繊維がスカスカで味が馴染みません」と若林さん。

香味野菜の玉ネギとニンジンを油でしっかり炒めてコクを出し、イタリアンでいうところの味のベース“ソフリット”を作る。ここに薄く切ったゴボウを入れ、ひたひたの水を加えて火にかける。これを数回繰り返し、水に溶け出した野菜の旨みを全てゴボウに戻すイメージで汁気をしっかり吸わせるのがコツだ。目安はゴボウにしっかりと油がなじみ、透明感が出て柔らかくなるまで。

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