昆布はどうなる?

昆布三昧の体験で富山の観光を変えるゲストハウス『昆布ハウス』

昆布の消費量が日本一の富山県でも、その数字は年々減少しています。そんな中、高岡市に昆布をテーマにした宿泊施設『昆布ハウス』が2023年8月にオープン。オーナーの竹中志光(しこう)さんは「富山の昆布食文化と魅力を多くの人に知ってもらいたい。昆布の消費を促し、昆布のチカラで健康な人を増やし、街を盛り上げたい」という想いで、運営をスタートさせました。

文:坂下有紀 / 撮影:田中祐樹

目次


昆布〆専門店が昆布三昧な宿泊施設を新展開

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富山県高岡市で2017年から昆布〆専門の飲食店『クラフタン』を営む竹中志光さん。

「9年前に商工会の青年部で富山らしい食の観光を創出するプロジェクトに取り組むことになり、その時に普段から自分たちが親しんでいる昆布〆をテーマにしたツアーをひらめきました。寄港地として栄えた高岡の伏木で北前船と昆布の歴史を学び、魚屋で昆布〆の作り方を教わり、自分が作った昆布〆を食べる体験が楽しめるツアー。しかし作ったばかりの昆布〆は食べられないので、ツアーのゴールに昆布〆が食べられる飲食店があれば、面白いだろうなと思って」。

kon2274c『昆布ハウス』に併設する『昆布BAR』のカウンターに立つオーナーの竹中志光さん。本業は店舗などを得意とする内装会社の経営者だ。

とは言え、昆布〆をよく食べる富山でも専門の飲食店はなかった。しかもプロジェクトの活動は1年限りで、せっかくのツアー企画も引き継がれることなく消えてしまう。それが惜しくて、自分で昆布〆専門の飲食店を立ち上げる決心をしたのだという。

kon5961_4214d商人の街・山町筋(やまちょうすじ)に建つ大型商家をリノベーションした複合商業施設『山町ヴァレー』の一角にある『クラフタン』。店内のカウンターや棚は波打つ昆布のような形で、ロゴや皿・箸置きなども昆布をイメージしたデザイン。

kon0001e『クラフタン』では、さまざまな食材の昆布〆を提供する。昆布〆=刺身で冷たいイメージがあるが、昆布〆にした野菜や鶏モモ肉を蒸籠(せいろ)で蒸して温かい状態で提供するメニューもあり、昆布〆の概念が更新される。昆布〆料理には、醤油ではなく昆布だしを利かせた煎り酒が添えられる。

『クラフタン』の開業と同時に、高岡に他にはない魅力的な宿があれば、次の街へ移動する観光客も素通りせずに滞在してもらえるようになるのではないかと考え、宿泊施設も構想していた竹中さん。

知人のつてで金屋町にいい町家が見つかり、宿泊施設の開業に着手した時、参考にしたのは香川県にある「うどんハウス」だった。讃岐うどんの文化を学びながら地域を楽しむ体験型の旅を提供するゲストハウスで、古民家に泊まり、郷土料理の讃岐うどんを学ぶ体験や、地元のうどん店を楽しむプログラムを提供している。

「まさにこれだと思いました。香川が讃岐うどんなら、富山は昆布だ!と」。
うどんハウスを視察した竹中さんは、自分が進むべき道がはっきりと見えたという。

かくして、2023年8月に、バーやエステサロンを併設する宿泊施設『昆布ハウス』をオープンするに至った。

kon2232f『昆布ハウス』は職人の街・金屋町のメイン通りの端にあり、BARは通り側から入店し、宿泊客は裏手の千保川に面した入口からチェックインする。ベッドルームはBARやエステルームの上階にあり、落ち着いた雰囲気。

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