トマトを使った人気レシピ6選|和食の料理人が教える、夏の絶品トマト料理
近年、日本料理店でもトマトは欠かせない食材のひとつになっています。冷菜や煮込みに使うだけでなく、「トマトウォーター」「トマトだし」を抽出したり、麹や味噌と合わせて発酵・熟成させたり。その活用法は年々広がっています。トマトに豊富に含まれるグルタミン酸は、昆布のうま味成分としても知られるもの。和食との相性がよく、料理に自然な奥行きをもたらします。そこで今回は、「WA・TO・BI」で人気を集めたトマト料理を厳選してご紹介。トマトジュレ、トマトだし、焼きトマト、トマト麹、トマト味噌など、プロの料理人ならではの発想が光るトマトレシピを集めました。夏の献立づくりのヒントとしても、ぜひご覧ください。
※2024/5/28配信記事を更新
トマトが和食で重宝される理由
トマトが和食の食材として注目されるようになった背景に、豊かな旨みがあります。トマトに多く含まれるグルタミン酸は、昆布や熟成した味噌などにも含まれる成分。料理に加えることで、味に厚みや奥行きをもたらします。
また、トマトのほどよい酸味は、脂のある食材や濃厚な味わいを軽やかにし、夏の料理に涼やかな印象を与えます。さらに、加熱することで甘みや旨みが増し、攪拌して漉せば澄んだエキスに。発酵させれば奥深い調味料へと姿を変えます。
だし、あん、麹、味噌。和食の技法と組み合わせることで、トマトは料理の味を組み立てる素材として生かされています。
トマトを使った和食レシピ6選
ホタテの炙り胡瓜挟み トマトジュレ/タコと夏野菜の冷やし炊合せ——京都『瓢亭』
撮影:内藤貞保
トマトのうま味の引き出し方を、料理によって変える『瓢亭』。フレッシュ感と青臭さを引き出したい時は、生のトマトをミキサーでまわし、一晩かけて抽出した「トマト水」を、野太い旨みを出したい時は、焼きトマトを攪拌して取った「トマトだし」を料理に使う。
ホタテの炙り胡瓜挟みには、皮や種、ヘタまで使って抽出したトマト水のジュレを使用。雑味のない澄んだ旨みの中に、トマトならではの青々しさも感じられ、夏らしい清涼感を演出する。
一方、冷やし炊合せでは、トマトだしでタコを炊き上げる。15秒煮ては3分蒸らす工程を繰り返すことで、吸盤はさっくり、身はしっとり。さらに煮汁で仕立てた紫蘇トマトあんが、野菜やタコに力強い旨みをまとわせる。
▼ホタテの炙り胡瓜挟み トマトジュレ/タコと夏野菜の冷やし炊合せのレシピの詳細はコチラ
フルーツトマトの冷製茶碗蒸し トマト出汁ジュレ仕立て——大阪『佳酒真楽 さかふね』
撮影:高見尊裕
和歌山県産のフルーツトマトで引いた「トマトだし」を主役に据えた冷製の一品。昆布だしとカツオだしに、湯むきしたトマトの皮やヘタも加えて風味を移し、煮出した後のだしがらまで茶碗蒸しに用いる。「余すところなく食材を使いたい」という“始末の心”が息づく料理だ。
特徴的なのはその食感。一般的な冷製茶碗蒸しとは異なり、トマトだしに卵黄と片栗粉を加えて練り上げることで、ぷるんともっちりとした質感に仕立てている。これは瀬沢博貴さんが蓮根饅頭から着想を得たもの。「咀嚼することでトマトの旨みを感じてほしい」という狙いが込められている。仕上げにはトマトだしのジュレとだしを重ね、爽やかな酸味と清涼感を際立たせた。
▼冷製茶碗蒸し トマト出汁ジュレ仕立てのレシピの詳細はコチラ
焼きトマトとしじみの豚しゃぶ——東京『KOMB』
撮影:大山裕平
季節ごとに趣向を凝らした鍋をコースに組み込む『KOMB』。夏に提案するのは、焼きトマトとシジミの旨みを生かした豚しゃぶだ。
特徴は、トマトを炭火で焼いてから使うこと。表面を香ばしく焼くことで甘みが増し、水分がほどよく抜けて味わいが凝縮する。これを昆布だし、カツオ昆布だし、シジミを合わせた鍋に加えることで、トマトの旨みと爽やかな酸味が溶け込み、奥行きのある味わいに仕上がる。
合わせるのは、脂の甘みが持ち味のあぐー豚。シジミのコハク酸が加わっただしが豚肉の旨みを引き立てる。さらに、自家製の実山椒の薬味を添えることで、山椒の爽やかな辛味やゴマの香ばしさが重なり、夏らしい清涼感を演出。トマトをからめて味わえば、酸味が響き合う心地よい余韻も楽しめる。
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大原産岩魚のなれずし風 自家製トマト麹漬け——京都『わっぱ堂』
撮影:竹中稔彦
京都・大原で自家栽培の野菜を育てる『わっぱ堂』の細江 聡さんが考案したのは、自家製トマト麹で岩魚を漬け込む、なれずし仕立ての一品。ほんのり薄桃色に染まった身は、トマト由来のうま味と酸味をまとい、不思議とチーズのような熟成香を漂わせる。
特徴は、フレッシュトマトだけでなく、低温で乾燥させたセミドライトマトを加えて麹を仕込むこと。凝縮した旨みと熟成感が加わり、奥行きのある味わいに仕上がるという。トマトは甘み豊かなフルーツトマトと、酸味のあるシシリアンルージュを組み合わせ、それぞれの持ち味を生かしている。
岩魚を漬け込む期間はわずか2日ほど。それでも身質はねっとりと変化し、川魚特有の繊細な風味に発酵のニュアンスが重なる。キュウリや大葉、ミニトマトと合わせれば、爽やかさも加わり、夏らしい酒肴に。トマト麹は魚だけでなく、肉や冷奴、素麺にも応用できる万能調味料としても注目したい。
▼大原産岩魚のなれずし風 自家製トマト麹漬けの詳細はコチラ
冷しとまと煮——東京『津やま』
撮影:綿貫淳弥
『津やま』の夏を代表する名物料理が、この「冷しとまと煮」。そのルーツは約70年前、初代・鈴木正夫さんが修業先の銀座『わたき』で考案した一品に遡る。今も変わらぬ製法で受け継がれ、暑い季節を楽しみに訪れる常連客も多い。
主役は、酸味と甘みのバランスがよいトマト。中をくり抜いて鴨ミンチや玉ネギを合わせたタネを詰め、カツオ昆布だしでじっくり炊き上げる。鴨ミンチはすり鉢で丁寧にあたり、なめらかな口当たりに仕上げるなど、昔ながらの手仕事が随所に息づく。
さらに、くり抜いた種やゼリー部分も無駄にはしない。完熟トマトと合わせてソースに仕立てることで、トマトを丸ごと味わう一皿となる。冷やしたトマトの爽やかな酸味、鴨の旨み、葛でまとめた濃厚なソースが一体となり、どこか懐かしくも新鮮な味わいを生み出している。
▼冷しとまと煮のレシピの詳細はコチラ
鳥飼茄子の二色田楽 玉蜀黍ペースト添え——大阪『旬菜 山﨑』
撮影:福本 旭
大阪・吹田『旬菜 山﨑』の山﨑浩史さんが、夏野菜をテーマに仕立てた一品。使ったのは、摂津市鳥飼地区で受け継がれる「鳥飼なす」だ。緻密な身質を生かしてじっくり素揚げし、とろんと柔らかな食感に。枝豆のずんだ味噌とトマト味噌、さらにトウモロコシのペーストを合わせ、トマトウォーターを使ったあんで夏らしく仕上げている。
トマトは丸ごと冷凍してから解凍し、塩を加えて攪拌。漉して得たトマトウォーターをあんに使用する。残った果肉や皮は白玉味噌と合わせ、トマト味噌に仕立てている。透明感のあるエキスと凝縮した旨みのある味噌、2つの表情を使い分け、鳥飼なすやトウモロコシの甘みを引き立てる一皿となっている。
▼鳥飼茄子の二色田楽 玉蜀黍ペースト添えのレシピはコチラ
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