7Chefsの近未来和食

【レシピ付き】ダシザムライ・佐々木 浩さん作・近未来コンソメが冴える!「秋野菜の含め煮」(10月11日放送予定)

MBS 料理エンターテインメント番組「7Chefs」では、関西のトップシェフ7人が近未来の料理を提案し、食の課題を「おいしく、面白く」解決していきます。10月11日放送予定の回で「近未来和食を作れ!」のミッションに挑むのは、ダシザムライこと『衹園さゝ木』店主・佐々木 浩さん。昨今の海の環境の変化と、野菜の摂取量の減少を踏まえて、“カツオ節も昆布も使わない”超リッチなコンソメを考案しました。肉の贅沢な旨みを閉じ込めた、秋野菜の含め煮。その圧巻のレシピを放送に先駆けて配信します!


MBS 料理エンターテインメント番組「7Chefs」毎月第3水曜 深夜2:30~放送。


味の黄金比を世界へ“ラスボス村田”『菊乃井』村田吉弘氏。和食の新道を切り拓く“ダシザムライ佐々木”『衹園さゝ木』佐々木 浩氏。香辛料という魔法を操る“スパイスマジシャン吉川”『レオーネ』吉川健太郎氏。右脳と左脳で中華料理の枠を破る“チャイニーズフードハッカー東”『AUBE』東 浩司氏。炎と肉の求道者“ミートプロフェッサー岡”『祇園肉料理おか』岡 義隆氏。京フレンチの新風を巻き起こす“ナイト・オブ・モダンフレンチ前田”『レストランMOTOÏ』前田 元氏。そこにもう1人(未発表)を加えた7人のシェフが、さまざまな食の課題解決に挑む、料理エンターテインメント番組。

文:中本由美子 / 撮影:東谷幸一

目次


近未来は昆布も魚介も不足する!?

『祇園さゝ木』佐々木 浩さん

「今年の夏は海水温が38℃にもなったそうです。明らかに海の状態は変わってきている。近未来はこれまでと同じように魚介や海藻が手に入るか分からないと危惧しています」。

8月某日、京都『衹園さゝ木』の店主・佐々木 浩さんのこの台詞から収録は始まった。

大幅なリニューアルを経て、新装開店したばかりの店内は、カウンターの目の前にオープンキッチンが広がっている。そこへ、「近未来料理研究所」主席研究員である俳優・タレントの杉浦太陽さんが登場。「いらっしゃいませ!」。佐々木さんと弟子たちの威勢のいい声が響いた。

「本日の近未来和食、コンセプトは何ですか?」と杉浦さんが問うと、ダシザムライこと佐々木さん、答えて曰く「カツオ節と昆布を使わない、たんぱく質たっぷりのだしを取ります」。

その背景にあるのが、冒頭の海の現状。「カツオ節も昆布もどんどん減っていて、和食の命でもあるだしが取れなくなる時代が来るかもしれないんです…。そうなったら、和食店はどんなだしを取れるのか? それが今回の料理の切り口です」。

『祇園さゝ木』佐々木 浩さんと、タレントの杉浦太陽さん

ミートオールキャストのピュアなコンソメ

佐々木さんが提案するのは、和風コンソメ。主材料はなんと豚・鶏・牛のミンチというオールキャストに、金華ハム。「イノシン酸たっぷりで、贅沢ですね!」と杉浦さんが材料を見て驚いている。「金華ハムの塩気と旨みがええ仕事してくれるんですわ」と佐々木さんはニンマリ。

さらに、香り付けにミカンの皮を乾燥させた陳皮(チンピ)とブラックペッパー。ショウガとネギは肉の臭みを抑える役目だ。うま味の要となるのは、ドライトマト。「昆布のグルタミン酸をこれで補うんですね!」。杉浦さんが明解なコメントを添える。

『祇園さゝ木』流のコンソメの材料

たっぷりの水から煮出すこと30~40分。黄金色というより褐色に近い、濃厚なコンソメが完成。「骨を使うと2~3時間は煮出さないとアカンけど、肉だけやからこの時間でだしが取れるんですわ」と佐々木さん。

『祇園さゝ木』流コンソメ

そのコンソメを一口味見した杉浦さんが、目を瞠(みは)る。「濃厚ですね~! うま味の嵐です。味付けがいらないくらいですよ。肉ってこんなにピュアな旨みなんですね」。

佐々木さんの表情は、まさに我が意を得たり。「肉だけでだしを取ると雑味が出ないんですよ。骨があるとコクは出るんですが、雑味も出るでしょう」。

『祇園さゝ木』流コンソメ

主役は野菜、超リッチなコンソメは脇役に

「贅沢なコンソメやけど、これは脇役。肉のエキスを吸った秋野菜が主役の煮物です」。

豚・鶏・牛に金華ハムの旨みも染み出た超リッチなコンソメを、「野菜を炊く時は、甘みをしっかり付けた方がいいんですよ」と、淡口醤油と砂糖、熟成みりんで味付け。カボチャや里芋などの秋野菜に、万願寺唐辛子、トマトを加え、20分炊く。

「野菜というのは、炊いている間に自分の味を出すんですね。カボチャやったら、オレはこんだけ甘いぞ~というのを主張してくる。その甘みと相談しながら調味を微調整していくんですわ」。

そして、冷めると今度は煮汁の味をたっぷりと吸うのだと佐々木さんは言う。そこで今回は、鍋ごと一晩寝かせ、贅沢な肉の旨みを野菜に存分に含ませる。

「ダシザムライの秋野菜の含め煮」作り方

ダシザムライの野菜の含め煮

<コンソメを取る>

大鍋に豚・鶏・牛のミンチを各1㎏、金華ハム500gにドライトマト・陳皮・ブラックペッパー・ショウガ・ネギ各適宜を加え、しっかりと混ぜ合わせる。
水7ℓを注ぎ入れ、ミンチがほぐれるよう混ぜる。

『祇園さゝ木』流コンソメの下準備

中火にかけ、沸かさないように30~40分煮出す。アクは取り除くこと。キッチンペーパーを被せたザルにあけて漉す。

『祇園さゝ木』流コンソメを取る

<野菜を含め煮にする>

冬瓜は薄く皮をむき、皮目に重曹をすり込んでから下茹でし、冷水に取る。
小芋は六方にむき、米の研ぎ汁で下茹でする。
カボチャは一口大に切り、レンコンは乱切り、万願寺唐辛子は皮目を炙る。プチトマトは湯むきしておく。
③のコンソメに淡口醤油・砂糖・熟成みりんで味を付け、カボチャ→小芋→レンコン→冬瓜→万願寺唐辛子と湯むきしたトマトの順で加え、20分ほど煮る。
そのまま一晩置いて、野菜にコンソメの旨みを含ませる。

『祇園さゝ木』流コンソメで野菜を含め煮にする

<仕上げる>

⑧のスープを温めてゼラチンを溶き、冷やし固める。フォークなどでかき混ぜてほぐし、冷やしあんとする。
⑧の野菜を大皿に盛り付け、⑨をたっぷりとかける。新ショウガの甘酢漬けを針打ちにし、天に盛る。

『祇園さゝ木』流コンソメで野菜を煮る

だしという存在を未来に残すために

「肉のたんぱく質たっぷりのコンソメは、とろみを付けて冷やしあんかけにします。金華ハムも入っているから、洋風でもあり、中華風でもある味わい。それを和食に転換するのが、天にこんもり盛ったショウガの甘酢漬けなんですわ」。

大皿にダイナミックに盛り付けて、あんをとろりとかけて完成! 杉浦さんと佐々木さんによる試食が始まった。「魚介を使っていないので、これはまさに大地の料理。お~! 野菜がパワーアップしています!」と杉浦さん大興奮の試食風景は、10月11日の放送で、ぜひ。見逃し配信は、MBS動画イズムTVerで。

『祇園さゝ木』佐々木 浩さんと、タレントの杉浦太陽さん試食風景

「だしって和食には欠かせないものでしょう。それが、カツオ節と昆布で引いたものでなくとも、だしという存在だけは近未来に残っていてほしいと僕は思うんですよね」。
佐々木さんは最後にしみじみと語った。

今回は秋野菜だったが、冬の根菜を炊いてもよし、夏は葉野菜をさっとお浸しにしてもよし。旨いだしさえあれば、季節感を感じられる和食はできる。野菜料理をご馳走に昇華させる、超リッチな肉のだしを使った近未来和食の提案は、ダシザムライ・佐々木さんの面目躍如となった。

MBS 料理エンターテインメント番組「7Chefs」
毎月第2水曜日 深夜2:30~ ※TVer・MBS動画イズムで放送後約1カ月配信。
【公式HP】:https://www.mbs.jp/7chefs/
【TVer 7Chefs】https://tver.jp/lp/series/srnv9mk4or
【MBS動画イズム 7Chefs】https://dizm.mbs.jp/program/7chefs

フォローして最新情報をチェック!

Instagram Twitter Facebook YouTube

この連載の他の記事7Chefsの近未来和食

無料記事

Free Article

おすすめテーマ

PrevNext

#人気のタグ

Page Top
会員限定記事が読み放題!

月額990円(税込)初回30日間無料。
※決済情報のご登録が必要です