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【レシピ付き】霜月の締めもの Vol.3 大阪『廉 REN』

「料理をしっかりお召し上がりいただいた後ですから、凝りすぎない締め物を心がけています」という、大阪・谷町六丁目の割烹『廉 REN』店主の野原廉志さん。「鯖がおいしくなるこれからの時期、ご飯の上にきずしをのせてみてはどうだろう」。バッテラが名物になるほど大阪人は鯖好きですが、ありそうでなかったのが、丼スタイル。割烹一筋40年の野原さんらしい、脂の甘みを際立てるひと手間と、お客さまへのちょっとした心配りにご注目を。

文:船井香緒里 / 撮影:ハリー中西

大阪・谷町六丁目『廉 REN』野原廉志さん作
きずしめし

割烹の名門『作一』にて40年のキャリアを誇る野原さんは、還暦を過ぎた昨年3月に独立。浪速割烹の流れを汲む品書きはざっと100品近く。「お客さんだけの101品目の献立をお作りしますよ」。そうにこやかに話す、野原さんらしい心配りは、締めの一品にも見て取れる。

「料理をしっかり食べていただいた後ですから、主張しすぎず。だけど深く印象に残るようなご飯物を」と、これからの時期、脂が乗る鯖を主役に据えた。「〆鯖にすることであっさりと。なおかつ、お造り定食のような感覚で味わっていただけないか?」と考案したのが「きずしめし」だ。

鯖の選び方と酢〆の塩梅が肝

まず重要なのが、鯖の選び方。「丸々と肥えていて、あえて腹ビレが赤っぽく汚れているものを選びます。脂のりがよく、ハズレがない」と野原さんはきっぱり。「ウチでは、和歌山か長崎の500g前後のものを用います」。
酢〆は、「鯖の棒ずしに比べると幾分か優しい塩梅」だとか。3枚におろした鯖に、塩をして8〜10時間。「薄塩と強塩の中間くらいでしょうか。塩が強すぎると、表面だけに味がつき、中まで塩が入りづらい」。その後は、塩を洗い流すなどして、割り酢に2〜3時間浸ける。さらに昆布に挟んで2〜3時間置くことで旨みをプラス。冷蔵庫で半日〜1日、鯖の両面がしっとりとした質感になり、味が馴染めば完成だ。

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